大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和25年(う)688号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(理由)

(前略)原判決は判示事實認定の證據として「一、岡部武雄の盜難届、一、司法巡査森本一夫外一人作成の實況見分書、一、井藤元三郞作成の鑑別報告書」を擧示するが、原審公判調書によれば、檢察官が右書面を證據とすることにつき被告人及び辯護人の同意を得られなかつたことは所論の通りである。ところが右實況見分報告書並びに鑑別報告書については、その各供述者が公判期日において證人として尋問を受けその眞正に作成きれたものであることの供述なきに不拘らず原審第四回公判期日において檢察官が再び右兩書類につき證據調の請求をするや辯護人はその「證據調べに異議ないと意見を述べた」ことも明らかである(記録第二一二丁裏)而も被告人は之につき何等意見を述べた形跡がないからその意見は右辯護人に一任したものと解すべきところ、右辯護人の「證據調べに異議ない」との意見は、曩には證據とすることに同意しなかつた事實と對比すれば、今回は證據とすることに同意する旨の意思表示をも含むものと解するのが相當である。されば右兩書類については刑事訴訟法第三二六條第一項により證據能力があるものというべく、原判決がこれを證據として採用することは適法ではないというべきである。(後略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!